式辞・講話等
令和7年1月24日(金)全校終礼講話「イチローさんの才能」
今週の水曜日、野球選手のイチローさんが日本人選手として初めてアメリカ野球殿堂入りを果たしました。
殿堂入りの条件は、全米野球記者協会に10年以上在籍する記者の投票で75%以上の票を集めることで、イチローさんは史上2人目の満票での殿堂入りが期待されていました。
結果は、394人の記者のうち1人だけが、イチローさんに投票しなかったため、満票にはなりませんでした。この、1票足りなかったことに対してイチローさんが述べた言葉が、その人柄を表していました。
「1票足りないというのは、すごくよかったと思います。人って、いろいろなことが足りない。それを自分なりに、自分なりの完璧を追い求めて進んでいくのが人生だと思うんですよね。
やっぱり、不完全であるというのはいいなと。生きていくうえで、不完全だから進もうとできるわけで。そういうことを改めて考えさせられるというか、見つめ合えるというか。そこに向き合えるのはよかったなと思います。」
イチローさんの言葉は常にポジティブです。そして、目的を達成するために今できることに徹底して取り組みます。それは現役時代、ホームでの試合のときは4時間前に球場入りして準備をすることや、フォアボールの後にバットを丁寧に地面に置くしぐさ、グラブなどの道具の手入れを怠らないことなど、様々な場面で現れていました。そのすべては、ベストの状態でプレーし、ヒットを打つという目的のためでした。
自分の目的達成のために、1%でもプラスになることを見つけて積み重ねる。それは、天から与えられた才能以外の、自分で気づき、考え、行動することで結果を引き寄せる才能です。それは、誰にでもできる、でも、やり続けることが難しい才能です。
3年生の皆さん、卒業したら皆さんはまたビギナーです。初心に帰って新しい道を一歩一歩歩んでください。2年生はいよいよ最上級生です。ハワイ語学研修で磨いたチャレンジ精神を忘れず、学校を引っ張ってください。1年生は、1年生としてやり残したことのないよう様々なことにチャレンジしてください。
皆さん一人ひとりがそれぞれの立場で、それぞれの道で、自分で気づき、考え、行動することで結果を引き寄せる才能をしっかり磨いてくれることを期待します。
令和7年1月8日(水)3学期始業式「チャレンジ」
新年が明け、3学期の始業式を迎えました。
今年は蛇年です。蛇は、脱皮するごとにひとまわり大きく成長します。
昨年は、部活動や各種コンクールで多くの生徒が活躍し、そのたびにひとまわり大きく成長する姿を見せてくれました。今年も多くの皆さんが活躍し、大きく成長していく姿がみられるのを楽しみにしています。
ところで、1月は行き、2月は逃げ、3月は去る、と言われるように、3学期はあっという間に過ぎていきます。
3年生の皆さん、同期の仲間たちと一緒に登校できるのは、あと18日です。素晴らしい卒業の日を迎えるために、やり残したことを悔いのないようにしっかりやり遂げておきましょう。
2年生の皆さん、最上級生として、生徒会活動で、部活動で、地域と連携した活動で、リーダーシップをどう発揮するか考えておきましょう。そして何より、それぞれの進路目標を明確に見定め、その実現に向けた具体的な準備をしましょう。
1年生の皆さん、新入生が入れば皆さんは先輩です。先輩として、学校行事や部活動の中核を担う準備はできていますか。1年生としてやっておくべきことは、すべてやりきりましたか。自分がやっていない人の言葉に重みはありません。今、やらなければならないと思っていることにしっかり取り組んでおきましょう。
さて、新年にあたり、今年、みんなと取り組みたい目標があります。それは「チャレンジ」です。
自分の人生を構成する様々な要素の中で、変えることができるのは自分と未来だけです。だから、自分を高め、自分の描く未来に出合うために、自分の意思で、自分の力で、新たな可能性に挑戦する1年にしましょう。
そのために、今の一瞬一瞬を、今日の一日一日を大切にして、この島高で大いにチャレンジし、大いに学び、大いに笑って、1歩ずつ前に進んでいきましょう。
皆さん一人ひとりの挑戦が、本校の新たな挑戦に必ずつながります。皆さんが充実した3学期を送り、それぞれがめざす、次のステップに向けて成長する1年になることを願い、始業式の式辞とします。
令和6年12月24日(火)2学期終業式「常識を疑ってみる」
2学期が終わりますが、皆さんにとって有意義な2学期でしたか。
また、今年1年を振り返って、充実した1年でしたか。
先ほども賞状披露をしましたが、今年も部活動や各種コンクールで多くの生徒が活躍し、素晴らしい成績を収めてくれました。
また、本校の特徴である探究活動では、ニホンアワサンゴの研究や鹽飴づくり、竹の活用や防災マップ、二次元アイドルとのコラボなど、様々な取組が進んでいます。
ところで、どんなに素晴らしい取組でも、何年か続けていると、考え方が固定化して、新しい発想が出にくくなることがあります。
そんなとき、私は「常識を疑ってみる」ということをします。みんなが当たり前だと思って疑いもしないことを、新しい視点で考えてみるのです。例えば、昔話です。「浦島太郎」は誰でも知っていますが、彼は実在したのでしょうか。昔話の中には、「亀」や「竜宮城」、「玉手箱」など推理していく上でのヒントがたくさんあり、私は浦島太郎は実在した人物だ、と考えています。
このように、柔軟な発想でものを見ると、新しい世界が開けてきます。
さあ、あと一週間で新しい年が始まります。
3年生は、これから受験を迎える人もいますが、積み重ねた努力を信じて頑張ってください。進学先や就職先が決まっている人は、残り少ない高校生活を、自分を高める時間として大切に過ごしてください。
2年生は、1月にハワイ語学研修旅行が待っています。しっかり準備するとともに、体調管理にも十分気を付けてください。
1年生は、勉強に部活動に、それぞれが一所懸命取り組み、しっかり成長できていると思います。でも、気を緩めず、特に苦手科目は2年生になる前に必ず克服しておきましょう。
最後になりますが、インフルエンザが流行っています。各自が感染防止に努めながら、柔軟な発想で自分の未来を考える年末年始となることを祈って、式辞とします。
令和6年11月15日(金)全校終礼講話「生物とは何か」
私は理科の教員で、専門は生物です。教壇に立っていたころ、生物基礎の最初の授業は、生徒と一緒に「生物とは何か」を考えていました。
私たちはヒト、学名をホモ=サピエンスという、動物に分類される生物です。サクラやアサガオ、ヒマワリは植物に分類される生物です。石や空気、水は生物ではありません。体育館の床は、ブナやナラなどの木を加工した「元」生物です。
では、生物とそうでないものの境目は何でしょうか。
ちなみに、教科書で扱う生物は、細胞でできており、代謝を行い、自己複製できるもの、としています。
生徒の皆さんに「生物とは何か」と聞くと、様々な答えが返ってきます。その中で、どの学校でも出てきたのが、「命があるもの」という答えです。確かにそうですね、命があれば生物、なければ物質です。体育館の床は、もとは命をもった木でしたが、加工された今は木材で命はありません。
では、命とは何でしょうか。そもそも、命はどこにあるのでしょうか。
心臓は血液を流すためのポンプ、脳は記憶や運動、感覚、認知など様々な働きを行う臓器で、どちらも動物にとっては重要なものですが、植物のように心臓や脳をもたない生物もたくさんいます。ですから、これらは命そのものではありません。でも、生物には命が、確かにある。
私は、命とは私たちがもっている時間だと考えます。寿命と呼んでもよいでしょう。
自分の生き方を自由に決められて、そのために自分の時間を使うことができる。生きるためにいつもエサを探したり、ほかの生物に食べられる心配をしたりする必要もない。今の時代の日本に、ヒトという生物として命を授かった私たちは、それだけでとんでもなく幸せです。
だからこそ、どうか一度しかない自分の人生、皆さんには、命という時間をどのように使うか、しっかり考えながら生きてほしいと願っています。
そしていつか、その命を、今度は自分以外の何かのために使うことを学んでほしい。それが、あなたの人生を意味あるものにし、豊かな人生を送ることにつながると、私は信じています。
令和6年10月25日(金)全校終礼講話「1.01と0.99の法則」
前回の全校終礼で、「人間が変わるための3つの方法」という話をしましたが、覚えていますか?
人間が変わる方法は3つしかない。
1つ目は 時間配分を 変えること。
2つ目は 住む場所を 変えること。
3つ目は 付き合う人を 変えること。
この3つの要素でしか人間は変わらない、そして、全ての生徒の皆さんが、今からもうワンステップ高みを目指すなら、あなたの生活の中の「時間配分」を変えることが最も効果的だ、という話をしました。
ここで、ちょっと考えてみます。日ごろの努力を1として、明日は今日より、少しだけ、1%だけ頑張るとすれば、明日は、今日の努力の1に1%、つまり1.01を掛け算するので、1.01となります。あさっては、さらに1.01倍、つまり、1.01の2乗となり、1.0201となります。変化はわずかのように思えますが、これを1年間続けると、どうなるでしょうか。
1.01の365乗は、およそ37.8です。1年間で、とても大きな成果が得られることになります。
これとは逆に、明日は今日より、少しだけサボっていくとどうなるでしょうか。1%だけサボるとすれば、明日は、今日の1に0.99を掛け算するので、0.99となります。あさっては、0.99の2乗で0.98となります。あまり減らないように見えますが、1年間続けるとどうなるでしょうか。
0.99の365乗は、およそ0.003です。つまり、1年間サボり続けると、ほぼゼロになってしまうのです。
これは、「1.01と0.99の法則」といいます。色々な人が話しているようで、有名なところでは、楽天の三木谷浩史社長も楽天の社員に話しているようです。
たった1%ずつのわずかな努力でも、1年間毎日続ければ、大きな成果が得られます。反対に、毎日ちょっとずつサボる癖がついてしまうと、1年たてば、何も残らなくなる、というお話です。
いずれにしても、実りの秋。この秋が、皆さんにとって、実り多いものとなることを心から願っています。
令和6年9月27日(金)全校終礼講話「人間が変わるための3つの方法」
2学期が始まって1か月がたとうとしています。今年はつい先日まで猛暑が続きましたが、炎天下の中開催した体育祭では、「全力必笑」のスローガンのもと、皆さんが全力で活躍する姿を見ることができて、私も元気をもらいました。
20日に実施した進路講演会では、講師の畑先生から、仲間のよいところを探して「いいね!」と伝えあうことが、より高みを目指せる集団づくりにつながることを教えていただきました。私も、笑顔で「いいね!」を心掛けていきます。
さて、3年生は、いよいよ就職・進学に向けたシーズンが始まりました。
3年生の皆さんにエールを送るとともに、1・2年生の皆さんがそれぞれの目標に少しでも近づくきっかけになることを期待して、経営コンサルタントとして有名な大前研一(おおまえけんいち)さんの言葉を紹介します。
それは、「人間が変わるための3つの方法」です。
人間が変わる方法は 3つしかない。
1つ目は 時間配分を 変えること。
2つ目は 住む場所を 変えること。
3つ目は 付き合う人を 変えること。
この3つの要素でしか 人間は変わらない。
最も無意味なのは、『決意を新たにする』ことだ。
決意を新たにすることが無意味だ、というのは「明日からやるぞ!」という精神論だけでは何も変わらない、具体的に何を変えるかが大切だ、ということです。
本校は約半分が寮生ですので、すでにこの3つを全て変えて、自分自身の未来をより良い方向へ大きく変えている人がたくさんいます。素晴らしいことです。
そして、全ての生徒の皆さんが、今からもうワンステップ高みを目指すなら、あなたの生活の中の「時間配分」を変えることが、最も効果的です。
朝、学校に来てからの15分で英単語を3つ覚えてみるとか、数学の問題を1問解いてみる。勉強に限らず、自分の将来につながる何かを1日24時間の中に取り入れてみる。その積み重ねは、必ずあなたを変えるでしょう。変わらなければ、また時間配分を変えてみれば良いのです。
私は、少し前まで、毎週3回、夜に弓道場に出向いて2時間弓を引く、というのを心がけていました。それは、自分自身を見つめなおす大切な時間となり、生活のリズムをつくるのに効果的でした。
さあ、みなさんなら、どのような時間配分を考えますか?ぜひ、今日から始めてみてください。きっと、未来が変わりますよ。
令和6年9月2日(月)2学期始業式「幸運の女神には、前髪しかない」
あっという間に夏休みが過ぎ、2学期の始業式を迎えました。
今年の夏も猛暑が続きましたが、勉強合宿や探究合宿などが積極的に行われ、先ほど披露もありましたが、部活動の試合や各種コンテストで活躍した報告を、いくつも聞くことができました。
皆さん一人ひとりが体調に気を配りながら、暑さに負けることなく充実した夏休みを過ごしてくれたことを、本当に嬉しく思います。
さて、1学期の終 業式で、「今できないことや、苦手なことにこそ伸びしろがあり、それを克服すれば、あなたの夢や目標の実現に必ず繋がる。」と伝えました。皆さん、実力アップの夏になりましたか?
2学期は一番長い学期です。今週末には体育祭もありますが、勉強でも部活動でも2学期には様々なイベントがあり、活躍の場がたくさんあります。
例えば、部活動の秋の大会。接戦をものにして優勝したとき、「いえいえ、たまたま運が良かっただけで」と謙遜する人がいます。よく、「運も実力のうち」と言いますが、私は「運は実力の賜」だ、と思います。
「運がよい」と言われる人は、高い目標をもち、その実現に向けて努力している人であり、チャンスをつかむためにいつも準備をしています。
「幸運の女神には、前髪しかない。」
これは英語のことわざで、元はレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉のようです。
幸運の女神には前髪しかないので、向かってくるときにつかまなければ、通り過ぎてから慌てて捕まえようとしても、後ろ髪がないのでつかむことが出来ない、という意味です。
私の友人に、事業で成功している人がいます。彼は、チャンスが来たときは、出来るか出来ないかはわからないけれど、まずは「やります!」と手を挙げて、そのあとにどうやったらできるかを考えているそうです。
皆さんが、積極的に幸運の女神の前髪を掴みに行き、勉強に、部活動に、そして3年生の進路実現に、前向きに取り組む2学期となることを期待しています。
令和6年7月19日(金)1学期終業式「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」
1学期も終わり、明日からは長い夏休みに入ります。高校3年間は36か月、そのうち夏休みは4カ月で、高校生活の1割を占めます。この1割をどう過ごすかは、皆さんが夢や目標を実現する上で、とても重要となります。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」
これは、紀元前5世紀、中国春秋時代に書かれた「孫子」という兵法書の中の一節です。「相手と自分の状態を把握して正しく判断すれば、何度戦っても負けることはない」ということです。
例えば、定期考査について考えてみましょう。
ここでいう相手とは、定期考査で間違えた問題のことです。定期考査で常に8割を取れる人でも安心せず、間違えた2割をしっかり克服することが重要です。
間違えた問題をしっかり振り返り、何ができなかったのか、どうしてできなかったのかを把握し、克服することで、次に同じような問題に出合っても確実に解けるようにすることを繰り返していれば、高校を卒業するころには、どんな問題でも解ける力が身に付くはずです。
同じことは、スポーツや音楽、様々な文化的活動にも言えます。今、できないこと、苦手なことにこそ、あなたの伸びしろがあります。それを克服することが、確実に実力アップに繋がり、あなたの夢や目標の実現に必ず繋がります。
明日から夏休みに入りますが、苦手な部分を克服して基礎基本を盤石なものにすると同時に、あなたの得意な分野もしっかり伸ばしてください。
今年の夏も厳しい暑さが続くようです。バランスのよい食事と十分な睡眠、適度な運動で体調を整えながら、充実した夏休みを過ごしてください。
令和6年6月21日(金)全校終礼講話「見えない壁」
皆さんは「ノミ」を知っていますか。
ノミは、犬や猫の寄生虫で、体長は1ミリから5ミリほどです。ところがジャンプ力がすごくて、自分の体長の100倍ほど前に跳び、高さは60倍まで跳ぶそうです。もしも私にノミのジャンプ力があれば、私は1回のジャンプで170m前へ、そして100m上まで跳べることになります。
そんなノミを使った実験があります。
はじめに、たくさんのノミを高さ20cmの透明な瓶に入れます。するとノミはみんな瓶から跳び出してしまいます。
次に、この瓶にフタをすると、ジャンプしたノミは何度もフタにぶつかり、そのうち誰もフタより高く跳ばなくなります。その後、フタを取っても、ノミは跳び出さないままです。
さて、このノミが前のように跳べるようになるには、どうすればよいでしょうか。
答えは、「瓶に入ったことのない新しいノミを1匹入れる。」です。すると、新しいノミにつられて、みんな外に跳び出るようになるのです。
ノミを人間に置き換えたとき、この実験はさまざまな示唆を与えてくれます。
フタ、いわゆる障害に何度も当たると、高く跳ぶことを諦める人が多いこと。
そして、障害がなくなっても、跳べないと思い込んだり、自分で限界を作ったりしてしまうと、高く跳べる力を発揮できないということ。
でも、高く跳べる仲間がいると、一緒に高く跳ぶことができるということ、などです。
高く、遠く跳べる能力は皆さんにもあります。もしかしたら、自分の能力や可能性に気付いていないだけかも知れません。あるいは、「どうせ無理」と最初から諦めて自分でフタをしてしまっているのかも知れません。
昔、陸上の100Ⅿ走には「10秒の壁」という言葉がありました。人間の限界、誰も越えられない壁、とみんなが考えていました。
しかし1983年、カール・ルイスが平地で初めて10秒の壁を破り、1991年の世界陸上決勝では、6人の選手が9秒台を出しました。日本では、2017年に桐生祥秀が9秒98の記録を出してからは、サニブラウン・アブデル・ハキームや小池祐貴、山縣亮太など、「10秒の壁」を破る選手が相次ぎました。そして、みんな気付きました。「そこに壁はなかった」と。
さあ、次は皆さんの番です。ぜひ、高く、遠く跳べる初めの一人として、「見えない壁」を打ち破ってください。勉強でも、スポーツでも、好きなことでも、今、自分が限界と思っている壁の向こう側のレベルアップした自分、なりたい自分の姿を明確に想像し、目標を定め、そこをめざして、この周防大島高校で、とことん挑戦してみてください。
壁を超えた皆さんに会えるのを楽しみにしています。
令和6年5月24日(水)全校終礼講話「村祭りのお酒」
新学期が始まって2か月がたとうとしています。
おとといは壮行式もありました。部活動については、今が一番充実しているときでしょう。
さて、私は時々校内を周っています。皆さんが一生懸命授業に取り組む姿を見るのが楽しみなのです。
でも、中には足を組んで授業を受けていたり、居眠りをしていたりと、気になる場面に出会うこともあります。
授業中に寝るのはもってのほかだけど、足を組むのはよいのでは、と思う人もいるかもしれません。では、ちょっと実験してみましょう。皆さん腕を組んで。では、1回手を伸ばして逆に組んで。
右利きや左利きと同じで、人が手足を組むときにも組みやすさがあり、1日中同じ姿勢を続ければ、体はゆがみます。足を組む癖のある人は意識して、体をゆがめないようにしましょう。
ところで、友人と仲良くできていますか。誰かに嫌がらせをしたり、持ち物を隠したり、SNSで悪口を言ったり、仲間外れにしたりしていませんか。やっている人は軽い気持ちでも、やられる人にとっては学校に来たくなくなるほど嫌なものです。
金子みすゞさんの詩に「こだまでしょうか」というのがあります。
― 詩 ―
相手の態度は、自分がその人にどう接しているかを写す鏡です。せっかく一緒に過ごす3年間です。相手のよいところをたくさんみつけて、こんなところが素敵だな、あなたと友達になれてうれしいな、と伝えてみましょう。きっと友達も、あなたの素敵なところをみつけて、あなたと友達になれたことを喜んでくれるでしょう。
さて、「村祭りのお酒」という昔話があります。
ある村では豊作を祈って夏祭りをするのですが、その祭りでは 初めにお酒の入った大きな樽を割って、乾杯してからスタートするのが恒例だったそうです。
ところが、ある年、お酒が足りなくてこのままでは祭りが始められない、ということがありました。するとある村人が「みんなが家からお椀1杯ずつお酒を持ってきて、樽に入れたらどうか?」と提案しました。
みんな「1杯なら」と賛成し、樽はいっぱいになりました。ところがここで事件が起こります。夏祭りの当日、酒樽を割って、みんなで「乾杯」と言って飲むと、中身が「水」だったのです。
みんな、「自分一人くらい、水を入れても分からないだろう」と思って水を入れていたのです。
さて、一人ひとりがルールを守ることを大切に思わなければ、この素晴らしい周防大島高校の雰囲気も、簡単に崩れてしまいます。
私たち一人ひとりが、自分のクラス、学年、そして周防大島高校を大切に思い、意識して行動できるようになったとき、今よりもさらに素敵な周防大島高校になります。みんなで、素晴らしい学校を作り上げていきましょう。
令和6年5月11日(土)令和6年度PTA・教育後援会合同総会あいさつ
本日はお忙しい中、令和6年度PTA・教育後援会合同総会に御出席いただきありがとうございます。また、平素から、本校教育活動の推進について深い御理解と温かい御支援・御協力を賜り、心から感謝申し上げます。
さて、新年度がスタートして1ケ月が経ちました。
1年生は、慣れない高校生活や、初めての寮での集団生活など、これまでの生活が大きく変わりましたが、ようやく慣れてきたところです。
連休も明け、明後日からは第1回考査が始まります。生徒達には、気持ちをしっかり切り替えて試験に臨んでほしいと思います。
現在の学校の雰囲気ですが、福祉専攻科も含めて、生徒たちはみんなとても明るく、規律正しく学校生活を送っています。これも御家庭での御指導の賜物と感謝申し上げます。
ここで、私からは4点お話させていただきます。
ひとつめは、山口県立大学の附属高校化についてです。
本校は、令和8年4月から山口県立大学の附属高校となります。
令和8年度以降の学科編成や教育課程がどのようになるかは、今後、設置者である山口県立大学が決めることになりますが、山口県立大学は、地域の要望に応えることができる「地域貢献型大学」として、地域とともに未来を切り開いていく大学をめざしています。
その方向性は周防大島高校のめざす姿と一致しており、これまで本校の特色ある学びをとおして、社会参画への意識を高め、社会貢献できる力を着実に伸ばしてきた生徒たちにとっては、これまでの学びがさらに広がり、深まっていくことになるでしょう。
附属高校に関する情報につきましては、確定したものから随時お知らせしてまいります。
ふたつめは、学校評価書です。昨年度はアンケートに御協力くださりありがとうございました。令和5年度の学校評価書を本校ウェブページに掲載していますので、後ほど御確認ください。
みっつめは、「家族でやま学の日」についてです。
「家族でやま学の日」とは、県内の公立学校に通う児童生徒が、学校の休業日以外に、御家族と一緒に体験活動や探究活動を実施できる日のことです。詳細は、配付しました両面刷りのチラシを御覧ください。原則として一週間前までに学校に申請することで、年3日まで取得できます。
なお、学校行事や定期考査中など取得できない日もあります。現在、6月1日以降の実施に向けて準備をしており、後日お子様を通じて改めてお知らせします。
最後に、保護者の皆様にお願いがあります。お子様が、この周防大島高校で、夢の実現に向けて、大きく、そしてたくましく成長できるよう、全教職員が全力で寄り添い、見守り、導いてまいります。
しかし、お子様の人としての幅をさらに広げ、深めていくためには、学校だけではなく、学校・家庭・地域が連携して、チームとして取り組むことが大切です。御家庭におかれましても、お子様をしっかり見守り、ほめ、夢を語り、導いていただきますようお願いします。
私も2人の子供の父親です。もうすぐ子育てを卒業しますが、振り返って感じることは「育てたように子は育つ」ということです。うちの子も反抗期がありました。話しかけても「うざい」と拒絶されることもありました。けれど今になって、思いをもって、愛情をこめて伝えたことは伝わっている、と感じることが多々あります。
未来あるお子様の成長のために、御家庭と学校、地域がそれぞれの役割を十分認識し、協力しあって取り組んでいきましょう。
終わりに、今後とも、本校教育に一層の御協力と御支援を賜りますようお願い申し上げ、御挨拶といたします。
令和6年4月8日(月)始業式式辞 「夢をもつということ」
新しい学年を迎え、今、皆さんは、自分の夢や目標に向かって頑張ろう、という気持ちであふれていることでしょう。
若いうちから夢をもつことはとても大切です。夢は人生を切り拓く力の源となるだけでなく、どんな夢をもつかによって自分の「生き方」の方向性が決まります。
ところで、あなたはどんなことに幸せを感じますか?リーダーになりたいですか、人を幸せにしたいですか、人の役に立つ技術を見つけたいですか、それとも自分のやりたいことを極めたいですか。
就職や進学のその先にある、あなたの「本当の夢」、なりたい自分が分かったとき、視野は広がり、夢の実現のための選択肢も増えます。
例えば、病気で苦しむ人の力になりたいのならば、看護師になる他にも、医師、レントゲン技師、薬剤師、カウンセラーなど、様々な仕事があり、様々な関わり方があります。
皆さんには、自分の本当の夢をしっかり見据えて、この周防大島高校で夢の実現のための基礎基本をしっかり学んでほしいと思います。
夢を叶えることは簡単ではないでしょう。でも、夢に向かって努力を続ける限り、夢に近づくことができる、今よりもさらに成長できるはずです。
周防大島高校には、皆さんに寄り添い、その夢をかなえるために本気で導いてくれる素晴らしい先生方がおられます。迷ったら、ぜひ相談してください。
さあ、あなたの本当の夢は何ですか。
その夢を叶えるために、今日、あなたは何を始めますか。